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太陽光パネルのリサイクル市場、2035年に20億ドル規模に

太陽光パネルのリサイクル市場、2035年に20億ドル規模に

2022-10-30

米調査会社Research Nester(リサーチ・ネスタ―、日本事務所:東京都台東区)が9月1日に発表した市場調査レポート「ソーラーパネルリサイクル市場」によると、2022年の太陽光パネルのリサイクル(分解して材料として再利用)市場は約10億米ドルとなった。今後、年平均成長率(CAGR)最大38%で成長し、2035年までに約20億ドルに達すると予測している。

太陽光パネル

太陽光パネルのリサイクル市場規模

(出所:Research Nester)



 太陽光パネルには銀やレアメタルなどの希少な金属が使われている。これらのリサイクル市場は、鉱脈から掘り出される資源量が減少し、枯渇感が出てくることにより経済性が増し、急速に成長すると予想される。リサイクルが当たり前になるなかで、太陽光パネルの銀・レアメタルの再利用が進むという。

太陽光発電

リサイクル手法によるシェア

(出所:Research Nester)



 例えば、レアアースの需要は年間9%以上のペースで増加しており、製品からリサイクルされなければ、その埋蔵量は21世紀半ば以降に枯渇する可能性が高いとさえ予測されており、レアメタルも同様の方向性にあるという。

太陽光パネル用架台

地域別のリサイクル市場規模

(出所:Research Nester)



 その一方で、太陽光パネルのリサイクルについては、その重要性についての認識と啓発の欠如が市場の成長を妨げる面もあると予想する。多くの人は太陽光パネルの寿命を認識しておらず、その寿命は無限であり廃棄物を出さないと考えているのでないかと指摘する。

 また、同レポートでは、分解する手法を、プロセスによってサーマル(熱分解)、機械(破砕・分別)、レーザーによる分離技術ーーの3つに大きく分けている。このうちサーマルは2035年末までに40%のシェアを獲得する見込みという。損傷していないセル(発電素子)の95%以上と太陽光パネルの重量の80%以上を分解して再利用できることから、サーマルプロセスによるリサイクル需要が増加していると説明する。

 地域別では、アジア太平洋地域は最大38%の市場シェアを保持すると予想している。これは、同地域における住宅の屋根上太陽光設置の増加によるものと考えられる。インドの住宅屋根上太陽光発電は、2023年に3210MW(3.21GW)以上増加し、グジャラート州とマハラシュトラ州の2州で55%以上を占めた。長期的には、この地域での太陽光パネルのリサイクル需要の高まりにつながっていくという。

 日本における太陽光パネルのリサイクル市場は、太陽光発電の導入拡大により、今後数年で拡大する可能性がある。日本では、2022年に6GW超の太陽光発電が新規導入され、2030年までに累積で100GW超の導入を国家目標としている。これにより、リサイクルに対しても巨大な需要が生まれる可能性があるとしている。

 このほか同レポートによると、独フラウンフォーファー研究所(Fraunhofer Center)が、Solar Energy Systems ISEおよびReiling GmbH & Co. KGと共同で、太陽光パネルから回収したシリコンを100%使用して新たな太陽光パネルを製造するリサイクルプロセスを開発し、このリサイクルシリコンにより製造したパネルの変換効率は19%以上を実現しているという。

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