中部電力グループは、企業の遊休地を活用したオフサイト型PPA(電力購入契約)サービスの拡大を加速している。3月に発表されたニチアスや大垣共立銀行とのプロジェクトは、日本における太陽光発電の新たな潮流を象徴する事例として注目を集めている。これらは単なる電力供給にとどまらず、地域社会との共生や災害時の電力確保にもつながる「脱炭素の総合ソリューション」として評価されている。
中部電力のPPAプロジェクト概要
1.ニチアス(静岡県袋井市)
遊休地に出力1.5MWのメガソーラーを設置し、年間約200万kWhを供給。CO2排出量を9%(約842トン)削減。
非常用電源コンセントと30kWh蓄電池を併設し、災害時は地域住民へ電源開放を実施。
2.大垣共立銀行(岐阜県養老町)
出力1.695MWの太陽光発電所を建設し、2026年3月運転開始予定。
本店ビルなど10拠点に電力を供給し、CO2排出量を年間約800トン削減。
日本における太陽光発電の現状と課題
1. 遊休地活用の拡大とPPA市場の成長
日本の国土は狭く、大規模太陽光発電の適地が限られる中、企業の遊休地や施設内未利用地を活用するオフサイトPPAが急速に普及。矢野経済研究所の調査では、PPA市場は2030年度に700億円規模に達し、オフサイト型は大規模案件を中心にオンサイト型を上回る成長が見込まれる。中部電力は、ジェネックスグループの子会社化により太陽光開発を加速し、オフサイトPPAの電源拡充を図っている。
2. 地域共生型モデルの進化
ニチアスの事例では、蓄電池の設置や災害時の電力開放が特徴的だ。これは、単なるCO2削減にとどまらず、「エネルギーレジリエンス」と「地域貢献」を両立するモデルとして、企業の社会的責任(CSR)戦略に沿った展開となっている。また、中部電力は静岡銀行や名張市などと連携し、地域密着型のマイクログリッド構築にも注力しており、分散型エネルギーの推進が地域経済の活性化にもつながっている。
今後の展望
政府が掲げる「2030年度再エネ比率36~38%」達成に向け、企業の脱炭素化需要はさらに高まる。中部電力は、オフサイトPPAに加え、洋上風力や地熱発電にも投資を拡大し、多様な再エネ電源の組み合わせで供給安定性を確保する方針だ16。また、PPAサービスの高度化として、AIを活用した充電管理システム「OPCAT」の導入や、環境価値のトラッキング付非化石証書の活用も進められている。
専門家の見解
エネルギーアナリストの田中宏氏は、「オフサイトPPAは、企業が遊休地を資産化しつつ脱炭素目標を達成できる点でWin-Winのモデル。今後は地方自治体との連携や、農業との両立(ソーラーシェアリング)など、土地利用の多様化が鍵となる」と指摘する。
結び
中部電力グループの戦略は、単なる電力供給事業を超え、地域社会と連携した「脱炭素エコシステム」の構築を目指すものだ。遊休地活用による再エネ拡大は、日本の土地利用の最適化にもつながる可能性を秘めており、今後の展開が国内外から注目される。
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