帝国データバンクは2月10日、太陽光関連業者の動向調査結果を発表した。それによると、太陽光関連業者のDI(景気動向指数)は、新型コロナウイルスの感染拡大が始まった2020年2月以降に急落し、2020年4月には28.6を記録。その後、徐々に回復する過程にあり2021年12月には42.7まで上昇している。
(出所:帝国データバンク)
固定価格買取制度(FIT)に基づく買取単価は、家庭用が19円/kWhと2012年比でほぼ半減、小規模産業用(10kW以上~50kW未満)は12円/kWhと3分の1まで低下した。太陽光パネルなどの価格下落により、太陽光発電の投資利回りは再生可能エネルギーの採算性の目安とされる10%を確保できているが、利幅は確実に減少しており市場環境は厳しいと分析する。
(出所:帝国データバンク)
2021年のプレーヤー数は5423社となり、2018年比で29.2%減少した。ただし、前年比では3.7%の増加となる。2021年の市場規模(年毎のプレーヤー数の売上高合計)は22.5兆円となり、2018年比で54.4%の減少だった。こちらも前年比は3.7%増だった。また、2021年の黒字額は5657億円と、2018年比で58.1%の大幅減となった。一方、赤字額は849億円と、2019年の2901億円から減少した。なお、プレーヤー数は毎年変動するが、黒字企業の割合は約65%、赤字企業数は10~15%、不明は20%強になる。
2021年の倒産件数は前年と同じ84件。2015年から増え始め、2017年以降は年間70~90件の高水準が続いている。半期ベースでは、2021年下半期は前期比21.1%増の46件と2018年下期以来の高水準で、今後さらに増加する可能性もあるという。また、2021年の負債総額は前年比240.7%増の816億2800万円と急増した。これは大型倒産が多く発生したのが原因で、負債規模別では負債10億円以上~50億円未満が8件、負債50億円以上が4件と、いずれも過去最多だった。
2006年以降に発生した倒産における負債総額上位20件のうち、8件が2021年に発生した。上位4社は、JCサービス(2021年3月民事再生法、負債約153億4200万円)、テクノシステム(2021年5月任意整理、負債約150億円)、グリーンインフラレンディング(2021年4月破産、負債約128億円)、アンフィニ(2021年9月民事再生、負債約87億円)と、いずれも2021年の案件だった。
帝国データバンクでは、FITの制度改正により2020年度から小規模産業用は全量買取制度から余剰電力買取制度に移行、大規模産業用(250kW以上)は入札制度が導入されたが、これらの制度変更とプレーヤー数の減少、市場規模の縮小、倒産件数の高止まりの間には、強い相関関係があると指摘する。
その一方、2021年7月のエネルギー基本計画では、2030年の再エネ構成比率が従来の22~24%から36~38%に引き上げられ、カーボンニュートラルが実現する2050年には太陽光と風力の構成比が65~72%に達するとされるなど、太陽光発電は国家戦略で未来の主力電源に位置付けられている。2021年にプレーヤー数と市場規模がわずかでも増加に転じたのは明るい兆しかもしれないと説明している。