京セラ、九電工、東京センチュリー、古河電気工業、坪井工業らは2020年4月28日、長崎県佐世保市宇久島における営農併設型太陽光発電の建設に向け、特定目的会社(SPC)である宇久島みらいエネルギーホールディングス合同会社に約500億円を出資する契約を締結したと発表した。
この計画は佐世保市の離島である宇久島に、合計165万枚の太陽光パネルを設置し、総出力は480MW(メガワット)という超大型メガソーラーの建設を目指すプロジェクト。一般的な太陽光発電設備と、太陽光パネルの下で農作物を栽培する営農型太陽光発電(ソーラーシェアリング)を組み合わせるハイブリッド型のプロジェクトで、年間発電量は一般家庭17万世帯以上の使用電力量に相当する約51.5万MWhを見込んでいる。太陽光発電所で発電した電力は、宇久島と本土との間に約64kmの海底ケーブルを敷設し、九州電力に売電する。
当初このプロジェクトはドイツの太陽光発電開発会社であるフォトボルト・デベロップメント・パートナーズ(PVDP)が主導していたが、後に撤退が決定。九電工や京セラが主導する新たな体制でのプロジェクト継続が決定していたが、許認可の関係などにより、着工開始が遅れていた。また、「再生可能エネルギーの固定買取価格制度(FIT)」の制度改正が行われ、スケジュールの遅延度合いによっては電力の買取単価が減額となり、事業性がいちじるしく低下するという可能性もあり、注目が集まっていた。
この宇久島のプロジェクトは2012年度にFITの認定を取得しているため、買取単価は40円/kWh。ただし、上述したFITの制度改正によって、この権利は2020年8月中に着工できなければ失効し、買取単価は半分程度になってしまう。総投資額2000億円のプロジェクトであり、8月中の着工は必須だ。
今回のSPCへの500億円出資は「プロジェクトの事業性を確認できたため」としており、完成すれば国内最大級となる発電所の8月中の着工に向け大きく前進したようだ。