NTTアドバンステクノロジ(NTT-AT)は2021年9月1日、無色透明発電ガラス(以下、発電ガラス)の販売を開始し、初の導入先として学校法人海城学園(東京都新宿区)に設置したと発表した。
この無色透明発電ガラスは、2011年創業のベンチャー企業inQsが開発したSQPV(Solar Quartz Photovoltaic:無色透明型光発電素子技術)を活用したもの。NTTアドバンステクノロジは2020年5月にSQPV技術を使用して製造した高機能ガラス製品の販売において、inQsと日本国内独占販売契約を締結していた。
(出所:NTTアドバンステクノロジ)
SQPVは非可視光である紫外光と赤外光を吸収し発電する技術。一般的なガラスの透過性を保持しながら、発電と遮熱という機能を付加することができるという。表面・裏面および斜めから入射する太陽光でも発電が可能で、既存の窓の内側から取り付ける内窓方式でも、それまでの採光や視野に影響を与えることなく発電・遮熱機能を付加することが可能だという。
また、天井がガラス張りのガラスハウスなどでは、北面でも天井からの日射があれば発電できる。こうした特性から、一般のガラス並に可視光を透過しつつも、赤外光を吸収する特長を生かし、さまざまな場所でデザイン性の高い省エネルギー発電・遮熱ガラス材料としての用途開拓が可能としている。
今回、海城学園には学園内のサイエンスセンターに、展示用教材として約28cm角の発電ガラスを9枚したモジュールを設置。今後さらに温室の壁面に120枚の発電ガラスを内窓として取り付ける方針だという。なお、発電ガラスの内窓取り付けに際して必要となるガラスや固定、配線、サッシ収容技術などについては、YKK APの協力を受けた。
(出所:NTTアドバンステクノロジ)
NTTアドバンステクノロジとinQsは、現時点で発電ガラスの発電性能は、28cm角で数十mW程度だが、今後さらなる性能向上に向けた技術開発を継続するとしている。同時に内窓など、室内でのエネルギーハーベスティング用途での展開に取り組むとともに、耐候性能評価、屋外収容技術の確立に取り組み、適用領域拡大を推進する方針だ。