経済産業省は1月31日、調達価格等算定委員会を開催し、2024年度の再生可能エネルギー発電所に適用する固定価格買取制度(FIT)の調達価格、フィード・イン・プレミアム(FIP)の基準価格について委員長案を公表した。
来年度(2023年度)における太陽光の調達価格・基準価格については、すでに決まっており、一定規模以上は入札制、連系出力50kW以上入札対象未満は9.5円/kWh、低圧事業用(10kW以上50kW未満)で地域活用要件(自家消費か営農型)を備えた案件は10円/kWhとなっている。
2024年の太陽光については、10kW未満の住宅太陽光については、2024年度・16円/kWhとして2023年度と同価格とした。
10kW以上の事業用太陽光については、2024年度から新たに「屋根設置」区分を創設し、低圧事業用(10kW以上50kW未満)も含めて調達価格を12円/kWhとした。ただし、低圧事業用に関しては自家消費型の地域活用要件が適用される。また、屋根設置区分の12円/kWhは、2023年下半期にも適用し、認定申請の停滞を防ぐ。
事業用太陽光の地上設置については、低圧事業用(10kW以上50kW未満)は地域活用型(自家消費、営農型)が要件で10円/kWhとし、2023年度と同価格。50kW以上については9.2円/kWhとし、2023年度の9.5円/kWhから0.3円引き下げた。
地上設置案件は、地域共生型として周辺環境への影響が相対的に少ないことから、積極的に推進する方針で、すでに250kW以上であっても既設建物の場合、入札を免除するなど、優遇している。2024年度からは、地上設置とは別に新区分を創設して調達価格を引き上げることで、さらに導入を促進する。その際、不当に屋根設置区分の認定を取得しないように申請時に建物登記等の提出を求めるとともに、発電設備のすべてが建物に設置されていることを確認するとしている。
また、次世代型のペロブスカイト太陽電池の製品化が迫っていることから、今後、導入を推進するために、新区分を創設して調達価格などで優遇することも検討課題とした。
FIPのみ認められる範囲は、2023年度には500kW以上としているが、2024年度には250kW以上とし、さらに対象を拡大する。さらにFIPが選択できる範囲は、2022年度には50kW以上としているが、2023年度以降は10kW以上50kW未満の低圧事業用でも、一定の要件の下でFIPが選択できる。要件とは、(1)電気事業法上の発電事業者であること、(2)直接の契約関係に基づき、電気事業法上の小売電気事業者・登録特定送配電事業者・特定卸供給事業者に供給していることーーのいずれかを満たすこととした。
低圧事業用太陽光のFIP対象化の背景には、すでにコーポレートPAA(電力購入契約)モデルで複数の低圧サイトを開発する動きが活発化しており、こうした事業モデルにFIPを適用できるようにする狙いがある。