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営農型太陽光、許可数・急増も13%が「2割以上の単収減」

営農型太陽光、許可数・急増も13%が「2割以上の単収減」

2023-08-10

経済産業省は7月31日、有識者会議(再生可能エネルギー大量導入・次世代電力ネットワーク小委員会)を開催し、固定価格買取制度(FIT)、フィード・イン・プレミアム(FIP)の運用の適正化を討議するとともに、2030年に向けた再エネ導入推進策に関して、環境省と国土交通省、農林水産省から報告を受けた。


営農型太陽光発電


農山漁村再エネ法を活用した発電設備の設置主体

(出所:農水省)


FIT・FIPの適正な運用では、太陽光の認定出力「10kW以上」から「10kW未満」への計画変更の取り扱いがテーマとなり、「運転開始後においては、こうした変更認定は原則認めない」との方向性が示された。10kW未満への認定変更の増加が懸念されるのは、10kW以上の事業用太陽光を対象とした廃棄費用の積み立て制度が始まったことが背景にある。廃棄費用の積み立てを逃れつつ、買取価格が上がる10kW未満区分への変更が相次ぐ可能性があり、今回の運用見直しでは、こうした動きに先手を打った形だ。


ソーラーシェアリング架台


営農型太陽光における営農に関し、支障のあった件数・割合

設備整備計画の認定数(出所:農水省)


また、会合では、農林水産省から農山漁村再エネ法の適用状況、営農型太陽光を前提とした一時転用の許可状況などの報告があった。

 農山漁村再エネ法は、地域関係者が連携して再エネ発電を推進するもので、認定を受けた再エネ設備・整備計画には、第1種農地の転用などの特例措置が受けられる。報告では2021年度までに認定数の累計は100件となり、そのうち太陽光が31、風力が25、水力が2、バイオマスが35だった。この認定によって第1種農地を転用した面積は331haに達し、そのうち314haに太陽光設備が設置されたという。

 同省によると、農山漁村再エネ法を適用した再エネ設備の設置主体をみると、約半分が地元企業になっており、県内企業と合わせると6割に達していることもわかった。

 また、一時転用許可によって設置される営農型太陽光については、2021年度までに累計で3474件、872.7haに達したことが報告された。2013年度には102件だった新規許可件数は年々増加し、2021年度には779件と単年度の件数で7倍に急増している。

 一方、2021年度末に2535件の営農型太陽光設備を対象に同省が営農状況を調べた結果、18%となる458件に支障があった。支障のあった458件のうち、335件(全体の13.2%)が営農者に起因した栽培作物の単収減少(広さ単位当たりの収穫量の減少)が地域の平均より20%以上少なかった。73件が災害による単収減少、32件が設備工事の遅延などだった。単収減少の度合いを見ると、335件の5割超は地域単収の0~20%未満と本格的な営農が見られない状況だった。

 これらを見ると、災害の影響を除けば、約13%の営農型太陽光が一時転用の更新に求められる単収要件(地域の平均単収に比べて20%以内の減少)を満たしていないことになる(荒廃農地の再生利用に関しては単収要件は非適用)。

 また、環境省は、地球温暖化対策推進法に基づき、「再エネ促進区域」を設定している自治体を2023年7月時点で12市町と公表した。促進区域を設定したのは、長野県箕輪市、岐阜県恵那市、滋賀県米原市、神奈川県小田原市、神奈川県厚木市、埼玉県入間市、島根県美郷町、福岡県福岡市、佐賀県唐津市、愛媛県松山市、徳島県阿南市、富山県富山市。

 再エネ促進区域は、「ポジティブゾーニング」とも呼ばれ、条例などで再エネ開発を禁止するエリアを設定するネガティブゾーニングが広まっているなか、逆に促進するエリアを明示することで地域と共生する再エネ開発を後押しする狙いがある。現時点では、促進区域を設定する自治体は少数に留まっているが、計画づくりを支援するゾーニング支援事業を採択された自治体は30になっていることから、今後増加する可能性はある。




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