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  • 告示で定めるアルミカーポートの技術基準を緩和する動きが始まっています

    告示で定めるアルミカーポートの技術基準を緩和する動きが始まっています

    May 27, 2021

    再生可能エネルギータスクフォースに寄せられた案件です。 太陽光パネルのコスト削減が進み、カーポートの屋根に太陽光発電設備を設置する「ソーラーカーポート」の導入が進みつつあります。 ソーラーカーポートを導入すると、再生可能エネルギーの導入拡大につながり、また、災害時などにも役に立ちます。 ところがソーラーカーポートを建設するためには、建築確認が必要になり、その申請手続きに関連する業務・コストが事業者の負担となっています。 そこで、建築確認申請の手続きを簡略化することになりました。 2021年7月までに国交省で告示を改正し、カーポートに多く用いられているアルミニウム合金造の小規模な建築物を、建築確認の審査時における構造基準についての審査省略制度の対象に追加することとしました。 さらに、建築基準法のソーラーカーポートの基礎の解釈を明確化します。 現在、地上置き太陽光発電設備の工法として、杭と基礎が一体化した杭基礎工法があり、コンクリート基礎と比べて大幅なコストダウンが可能となっています。 ところが、現行の建築確認の運用では構造上の基準を満たすものであっても基礎がないものと判断されてしまう事例が多くみられます。 そのため、杭基礎工法も建築確認において基礎として認めるよう国交省が7月までに通知で明確化することとしました。 さらに、基礎の構造計算によって構造耐力上安全であることが確かめられた場合においては基準に適合するものである旨も、あわせて通知で明確化します。

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  • ドコモショップ4店舗に蓄電池設置、太陽光の自家消費量を拡大

    ドコモショップ4店舗に蓄電池設置、太陽光の自家消費量を拡大

    May 26, 2021

    ティーガイアの100%子会社でオンサイト型コーポレートPPA(電力購入契約)サービスを提供するTGパワー(東京都渋谷区)は5月10日、ティーガイアが運営するドコモショップ4店舗に蓄電池を導入し、CO2排出量削減の実証実験を開始したと発表した。 ドコモショップ八街店の太陽光パネル (出所:TGパワー)  各店舗には、すでにTGパワーのオンサイト型PPAサービスで太陽光発電を導入済み。今回、米テスラ(Tesla)製の家庭用蓄電池「Powerwall」を設置することで、太陽光発電の自家消費率が10%向上する。店舗全体でCO2排出量が50%削減される見込みで、太陽光パネルのみと比較して約10%、CO2削減量が増えるという。  蓄電池の容量は13.5kWh、出力は5kWで、4人世帯が消費する1日分の電気を蓄電でき、電子レンジやドライヤーなど高出力の家電製品、エアコンやIH調理器などの200V機器も利用できる。さらに、1システムで最大10台までの拡張も可能。  対象店舗は、八街店(千葉県八街市、パネル出力26.5kW、PCS出力16.5kW、予想年間発電量2万9000kWh)、山武成東店(千葉県山武市、パネル出力21.9kW、PCS出力20.6kW、予想年間発電量2万4000kWh)、鎌取店(千葉市、パネル出力14.6kW、PCS出力12.3kW、予想年間発電量1万6000kWh)、日高店(埼玉県日高市、パネル出力21.9kW、PCS出力16.5kW、予想年間発電量2万4000kWh)。  太陽光パネルの自家消費率は約50~60%で、余剰電力は固定価格買取制度(FIT)で売電する。蓄電池導入により、余剰売電していた分を自家消費に回せるようになる。太陽光パネルはネクストエナジー・アンド・リソース製、PCSはオムロン製を採用している。  TGパワーによる太陽光のPPAサービスは、携帯電話ショップなどを中心に200施設以上の導入実績がある。今回の実証実験の結果をもとに、蓄電池を含めたPPAサービスの商品化を進めていく。今後2年間で100件程度の蓄電池設置を目標に取り組んでいく。

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  • シャープ、新築住宅に初期費用0で太陽光・蓄電池設置 太陽光電気は使い放題

    シャープ、新築住宅に初期費用0で太陽光・蓄電池設置 太陽光電気は使い放題

    May 19, 2021

    画像はイメージです シャープエネルギーソリューション(大阪府八尾市)は5月18日、TRENDE(東京都千代田区)と協業し、新築住宅を対象に、初期費用ゼロで太陽光発電システムや蓄電池を設置する定額制PPA(電力購入契約)サービスを6月30日に開始すると発表した。利用料は毎月の定額制で、太陽光発電システムが発電した電気は使い放題で使用することができる。 サービス名は「COCORO POWER(ココロパワー)」。太陽光発電システムのみを設置する「ソーラープラン」と、太陽光発電システムと蓄電池をセットにした「ソーラー蓄電池プラン」の2つのプランを用意する。どちらも万が一の停電時には、発電した電気で照明やテレビ、冷蔵庫、電気ケトルなどを使用できる。 「ソーラープラン」は、住宅の屋根に初期費用ゼロで太陽光発電システムを設置。発電した電気を家庭で使用できる。夜間など、太陽光発電システムが発電していない時間帯や発電量が少ないときは、系統から電気を供給する。利用料は毎月の定額制(税込7,700~9,900円/月)。太陽光発電システムが発電した電気が使い放題(自己所有の蓄電池や電気自動車への充電は除く)で、系統電力の基本料金と140kWh/月までの電気代を含む。日中、多くの電気を使う家庭向けプランとなっている。サービス開始日から10年後には、太陽光発電システムは顧客へ無償で譲渡される。 「ソーラー蓄電池プラン」は、初期費用ゼロで太陽光発電システムと蓄電池をセットで設置。昼間に発電した電気を蓄電池に貯え、夜間などに使用できる(税込13,860円/月)。シャープエネルギーソリューションのクラウドHEMSサービス「COCORO ENERGY(ココロエナジー)」が、自動で蓄電池の充放電を制御し効率よく自家消費できるという。サービス開始日から14年後には、太陽光発電システムと蓄電池は顧客へ無償で譲渡される。 電力小売システム「Utility Suite」外部提供第1弾 PPAは、第三者所有モデルとも呼ばれている。今回のサービスにおいて、シャープエネルギーソリューションは、設備を設置し、所有・運用する。小売電気事業は東京電力ホールディングスグループのTRENDEが担う。 具体的には、TRENDEは、シャープエネルギーソリューションに電力小売システム「Utility Suite(ユーティリティスイート)」を提供し、シャープエネルギーソリューションはそのシステムを活用してサービス「COCORO POWER」を提供する。 「Utility Suite」はAIを活用した電気の需要予測や需要予測にもとづいた電気の見える化を実装したユーザーフレンドリーな電力小売プラットフォームだという。電力小売事業を効率よく経済的に行いたいというニーズに応えてB to Bで提供する。今回が「Utility Suite」の外部提供第一弾となる。 TRENDEは、「Utility Suite」の提供を通じてPPAをはじめとする様々な電力サービスの後押しを行うことで、分散型電源の普及を促進し、再エネの効率的活用・普及に役立つP2P電力取引の実現に向けた動きをさらに加速させていくとしている。...

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  • 業界初「CO2ゼロ倉庫」、2MWのメガソーラー自家消費

    業界初「CO2ゼロ倉庫」、2MWのメガソーラー自家消費

    May 17, 2021

    三井不動産は、神奈川県海老名市に建設する大型物流施設「三井不動産ロジスティクスパーク海老名I(MFLP海老名I)」に出力2MWのメガソーラー(大規模太陽光発電所)を導入する。5月12日に発表した。業界初となるCO2排出量実質ゼロの「グリーンエネルギー倉庫」としてZEB認証を取得する予定。5月6日に着工した MFLP海老名Iの外観イメージ (出所:三井不動産)  屋根上に出力2MWの太陽光発電設備を設置し、オンサイトで発電し電力を供給する。年間発電量は約220万kWhの見込みで、建物全体で使用する電力の2~3割を賄う。残りの電力はトラッキング付き非化石証書を用いて再生可能エネルギー100%を実現する計画。  このほかにも、倉庫部分を除く事務所用途部分にデシカント空調や地中熱ヒートポンプなどの省エネ設備を導入する。Low-Eガラスやダブルスキン、外壁光断熱、LED照明、人感センサーなどの照明制御と合わせて、1次エネルギー消費に伴うCO2排出量を50%以上削減する。  6階建て、鉄骨造、免震構造を採用。延床面積は約12万2200m2。隣接する海老名運動公園との緩衝帯にグリーンインフラとして雨水貯留池と緑地帯を設けて周辺環境との調和に配慮した。設計・施工は日鉄エンジニアリングが担当。竣工は2022年9月の予定。  また、三井不動産は5月10日、首都圏に所有するすべての施設で2030年度までに使用電力を再エネに切り替えると発表した。現時点で約120施設あり、対象となる電力量は年間換算約3億kWh、CO2削減効果は約12万3000tとなり、一般家庭約6万9000世帯分に相当する。  そのうち東京ミッドタウンや日本橋エリアのミクストユース型基幹ビルなど25棟で、先行的に2022年度末までに使用電力を再エネに切り替える。年間換算2億kWh、CO2削減効果約8万2000t、一般家庭約4万6000世帯相当を超える見込み。  これまでにも同社は、保有・賃貸する首都圏のオフィスビルなどを対象に、2030年度までに約6億kWh相当を再エネ電力に転換すべく、2020年12月に東京電力エナジーパートナーとの間で包括協定を締結した。他の電力事業者との連携も含めて、2021年4月1日から再エネ電力を順次導入している。

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  • 再エネ拡大へ「45GWの営農型太陽光を」、ASPEnが提言

    再エネ拡大へ「45GWの営農型太陽光を」、ASPEnが提言

    May 13, 2021

    一般社団法人・太陽光発電事業者連盟(ASPEn)は4月23日、日本政府の2030年に向けた気候変動対策目標の引き上げ表明を受け、再生可能エネルギーの導入量拡大に向けた提言書を発表した。短期間で大量導入可能な再エネ電源は太陽光発電とし、今後10年間に国内で45GWのソーラーシェアリング(営農型太陽光発電)の導入を目指して必要な政策支援を求めている。 ソーラーシェアリング(営農型太陽光発電所)の例 (出所:太陽光発電事業者連盟・ASPEn  同提言書では、国内の農地面積は耕地が約437万haと荒廃農地が約28万ha(うち再生利用可能なものは9.1万ha)であり、このうち約2%にあたる10万haを活用することで同提案規模のソーラーシェアリングが導入可能としている。国内のうちの水田と畑の比率は概ね55対45であり、同等比率でソーラーシェアリングを設置したと仮定すると、営業粗収益は概算で年間1100億~1200億円になる。  また、現在の技術水準でも、農作物の生産を損なうことなく農地1haあたり年間約100万kWhの電力生産が可能としている。これにより農地10万haへの導入で年間1000億kWhを確保でき、売電単価を10円/kWhと仮定すると年間1兆円分と算出される。ソーラーシェアリング設備の導入に必要な投資額としては合計11兆円を見込んでいる。  これらの目標達成には、2030年に向けた高い再エネ導入目標および目標達成と貫徹する政治的意志の表明、再エネ導入の妨げとなっている系統制約の速やかな解消、ソーラーシェアリングの国家プロジェクトとしての研究開発の推進、固定価格買取制度(FIT)やフィード・イン・プレミアム(FIP)に関する制度設計の抜本的な見直し、兼業農家によるソーラーシェアリングを促進する政策、太陽光発電における直流側蓄電池の導入に関する規制見直し、電気自動車による系統売電を可能とする電気計量制度の見直し、再エネ導入を促進する税制および融資支援制度の導入、といった政策が必要としている。  太陽光発電事業者連盟(ASPEn)は、事業用低圧太陽光など小規模な野立て型太陽光の開発事業者などを主体にした業界団体で、2018年11月に設立された。 弊社のさざ波式ソーラーシェアリング架台はとても人気のある製品でございます。少しご興味があっても、お気軽にご連絡くださいませ。

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  • 郵便局に「自家消費太陽光+EV」、日本郵政と東電が提携

    郵便局に「自家消費太陽光+EV」、日本郵政と東電が提携

    May 08, 2021

    日本郵政と日本郵便(東京都千代田区)、東京電力ホールディングスは、2050年のカーボンニュートラル実現に向け、戦略的に提携する。4月23日に合意書を締結した。両社の経営資源・ノウハウを活用して、日本のカーボンニュートラル実現と地域のレジリエンス強化に取り組む。 事業イメージ (出所:日本郵政) クリックすると拡大した画像が開きます  具体的には、郵便局などへの太陽光発電の導入や再生可能エネルギーへの切り替え、および集配用車両へのEV(電気自動車)導入拡大について、東京電力グループが協力して整備していく。また、郵便局に設置する太陽光発電やEVなどを活用し、自治体と連携して停電や台風時などの災害に強いまちづくりに貢献する。 沼津郵便局 (出所:日本郵政) クリックすると拡大した画像が開きます  2021年秋ごろをめどに、まずは静岡県沼津市の「沼津郵便局」と栃木県小山市の「小山郵便局」で実証する。集配用車両をEVに切り替えるとともに、郵便局に普通・急速充電器を設置する。  実証実験開始時のEV導入台数は、沼津郵便局が四輪15台、二輪20台。小山郵便局が四輪5台、二輪10台の予定。EVは、集配だけでなく「動く蓄電池」として災害時にも活用する。急速充電器は、集配用EVだけでなく、地域の企業や来局する顧客向けなどにも提供する。 小山郵便局 (出所:日本郵政) クリックすると拡大した画像が開きます  また、郵便局の電力を再エネ由来に切り替えるとともに、効率的な電気の使用に向けて東京電力グループが支援する。さらに、沼津郵便局では自家消費型の太陽光発電設備を導入し、購入電力量の削減と、集配用EV蓄電池と組み合わせて災害時の停電に備える。  日本郵政グループは、2050年のカーボンニュートラル実現に向けて、2030年度までに温室効果ガスの2019年度比46.2%削減を目指している。この目標達成には約2万4000局の郵便局を活用し、地域の脱炭素を推進することが重要としている。

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  • 太陽光パネルと蓄電池を備えた「日除け」、充電ステーションにも

    太陽光パネルと蓄電池を備えた「日除け」、充電ステーションにも

    May 06, 2021

     太陽光架台の開発・製造・販売など太陽光発電関連事業を手掛けるハイパーエナジー(東京都港区)は4月30日、太陽光パネルを活用し、日除けとして利用するエクステリア製品「オアシス」を発表した。5月10日から販売する。  結晶シリコン系太陽光パネルとリチウムイオン蓄電池を搭載した日除けで、スポーツ施設や商業施設などで快適に過ごせる空間や、災害時の電源供給スポットなどに活用できる。電気工事は不要で場所を選ばず施工できる。  また、小型電動モビリティや電動アシスト自転車と連携して充電ステーションとしての利用も想定する。観光地のサイクリングコースに配置し、観光客の休憩施設や地域観光情報の発信ステーションに利用できる。  太陽光パネルの出力は2.58kW(430W×6枚)、蓄電池の容量は6.54kWh。出力はAC202V/AC101Vに対応する。太陽光パネルと蓄電池は国内メーカー製を採用した。標準仕様ではLED夜間照明を備えるほか、オプション仕様として無線LAN、ウッドベンチ、ミスト発生装置、ベンチヒーター、デジタルサイネージなどを用意する。  標準価格(税込み)は280万円(施工費などが別途かかる)。同社では、オアシスのコンセプトや機能をどんな場所にどんな時にも移動、据付、使用できる新たな「ミニ発電所システム」を近日中にリリースする予定。

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  • 新築住宅への「太陽光義務化」、議論スタート、賛否両論に

    新築住宅への「太陽光義務化」、議論スタート、賛否両論に

    Apr 29, 2021

      国土交通省は4月19日、第1回「脱炭素社会に向けた住宅・建築物の省エネ対策等のあり方検討会」を開催した。「2050年カーボンニュートラル」実現に向けて、新築住宅などへの太陽光パネル設置義務化などについて議論した。  同検討会は、脱炭素化に向けた住宅・建築物におけるハード・ソフト両面の取り組みと施策の方向性を関係者に幅広く議論することを目的としたもの。第1回は、現状報告と論点を確認し、参加者それぞれの立場から自由に意見を述べた。  新築住宅などへの太陽光パネル設置義務化について、鳥取県の平井伸治知事は「現場から見たら、何を言っているのか」と反対の立場を表明した。平井知事によると、最近の政府の制度は、太陽光発電を住宅に設置できない仕組みになっていると指摘。例えば、固定価格買取制度(FIT)の買取単価は割が合わないほど低下しており、自家消費向けに蓄電池を導入するといった思い切った助成制度が必要とした。  また、同県を含む積雪地帯では屋根上に太陽光パネルを設置すること自体が難しく、積雪寒冷地に対して上乗せ助成をするといった施策がない限り普及が進まないのではないかとの懸念を示した。このほかにも、昼間の余剰電力を十分活用できない電気料金体系の見直しも必要と指摘し、一律の義務化は乱暴な議論なのではないかと述べた。  主婦連合会の有田芳子会長も、早々な設置義務化は難しいとの認識を示した。安価とはいえないイニシャルの原資をどうするのかを課題に挙げた。また、住宅価格の年収倍率が上がってきている状況で、設置した場合の投資回収が現状見込めないなかでは、住宅取得にも影響が出るのではないかと懸念する。設置義務化の前に、ZEB・ZEHへの誘導と並行して設置への環境づくりを行っていき、消費者自らが設置の選択をするように促すべきではないかと述べた。  一方、京都大学の諸富徹教授は「是非やるべき」と、積極的に賛成した。再エネの飛躍的な拡大は今後の日本の脱炭素化に不可避であり、住宅屋根への設置は重要なポテンシャルを持つと指摘。そのポテンシャルを生かすには、消費者の選択を待つのではなく義務付けが必要とした。  平井知事が指摘するFITでは採算が取れなくなっているという課題に対しては、FITに頼らないビジネスモデルとして自家消費モデルへの切り替えを提案。また、事業者側の初期負担で設備を設置するオンサイトPPA(電力購入契約)モデルといった新しいビジネスモデルを普及させることで、過度なコストを負担させることなく太陽光パネルの設置を義務付けることが可能とした。  東北芸術工科大学の竹内昌義教授も、日当たりの悪いところへの例外措置はあるにせよ、少なくとも義務化はしていくべきと述べた。太陽光発電の利点として、夏の電力需要のピーク時に最も効果を発揮するため、自家消費できるような形であれば全体の電気の需要に対する平準化もできる点を挙げた。 屋根条件でリスクも  慶應義塾大学の小山剛教授は「大変に意欲的」と評価する一方で、丁寧な制度設計が必要と指摘した。故障した場合や発電効率など技術が進歩した場合のリプレース費用、地域差による発電効率といったさまざまな違いをどうやって具体的に反映させていくかによって説得力が変わり、その判断を誤ると個人に過剰な負担を課すことになると述べた。  横浜市建築局の鈴木和宏局長(平原敏英副市長の代理として出席)は、大きなトレンドの流れとしては理解できるとした一方で、高度利用が進む市街地では日当たりの確保に課題のある地域もあるため、対象エリアの限定も必要かもしれないとの見解を示した。また、エンドユーザーの費用負担に対する支援も課題に挙げた。  東京大学の清家剛教授は、現在は日当たりなど住宅屋根の条件ごとに発電量が異なるリスクを個人が負担しており、一律義務化ではそのリスクが大きな問題になると指摘。個人のリスクを軽減するには、エネルギー事業者による屋根借りとしたり、エリア単位で発電して日射量の多寡に関わらず一律の電気料金とするなど、従来と異なるより効率的なやり方があるのではないかと提案した。  このほかにも同検討会では、4月1日に施行された改正建築物省エネ法を踏まえた、住宅や建築物の省エネ対策の強化に向けた規制的措置や誘導的措置のあり方などについてなどを議論した。同改正法では、中規模オフィスビルなどへの基準適合義務の対象範囲拡大、戸建住宅などの設計者から建築主への省エネ基準への適合の可否などを評価・説明することなどを義務付けた。  さらに、経済産業省が2015年12月にとりまとめたZEHの定義では、省エネ基準から断熱基準や設備などの高効率化を20%向上するとともに、太陽光発電などによる創エネで一次エネルギー消費量を正味ゼロ以下と定める。高断熱基準の外皮平均熱貫流率(UA値)は、省エネ基準が0.46~0.87に対し、ZEH基準では0.4~0.6に向上した。経済産業省・国土交通省・環境省が連携して、2030年までに建売住宅や集合住宅を含む新築住宅の平均でZEHの実現を目指している。  一方、こうした国の取り組みについて平井知事は、なかなか普及が進んでいないと指摘した。鳥取県では、2020年1月に独自の住宅再エネ基準「とっとり健康省エネ住宅(NE-ST)」を策定。行政主導ではなく、県内実務者が検討に加わることで実現可能な高い性能基準を定めることができたとしている。  NE-STでは、冷暖房費を抑えるために必要な最低限レベル(T-G1)でUA値0.48、経済的で快適に生活できる推奨レベル(T-G2)で0.34、優れた快適性を有する最高レベル(T-G3)で0.23と、ZEHを上回る性能基準を設けた。平井知事によると、今の欧米諸国はT-G2のレベルで義務化されており、日本の省エネ基準での努力義務は立ち遅れているという。...

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