「ESR 横浜幸浦ディストリビューションセンター2(横浜幸浦DC2)」を竣工 (出所:ESR) 大型物流施設を展開するESR(東京都港区)は1月31日、横浜市に「ESR 横浜幸浦ディストリビューションセンター2(横浜幸浦DC2)」を竣工した。2月1日に発表した。屋根上に出力5MWものメガソーラー(大規模太陽光発電所)を建設する予定で、すでに隣接して稼働している「横浜幸浦DC1」の屋根上太陽光と合わせ、10MWのメガソーラーを2024年以降に着工し、完成後は自家消費する。 テナント企業の作業者向けのラウンジ (出所:ESR) 「横浜幸浦DC2」は、横浜市⾦沢区幸浦の海沿いに位置する工場跡地に建設した。「横浜幸浦DC1」と同規模で、敷地⾯積 約9万m2・延床⾯積 約19万6000m2の 4 階建てマルチテナント型物流施設になる。同社は「横浜幸浦 DC」 の全敷地約 33 万m2のうち、物流施設2棟を先⾏して開発し、「横浜幸浦 DC1」の南側に「横浜幸浦DC2」を建設した。 テナント企業の作業者向けのフィットネスルーム(出所:ESR) 今後、隣接してさらに「横浜幸浦 DC3」「横浜幸浦 DC4」を同規模で建設し、屋根上には、それぞれ5MW規模の太陽光発電設備を設置する。4棟すべて完成すると、合計で20MWのメガソーラーとなり、1つの事業所にある太陽光発電所の規模としては、東京電力ホールディングスが川崎市の臨海地域で運営している合計出力20MWのメガソーラーと並び、神奈川県内で最大規模になると見られる。 「横浜幸浦DC1」「横浜幸浦DC2」の屋根上太陽光の着工が遅れているのは、系統接続の問題などがある。東京電力パワーグリッドとの連系は、基幹系統に関してノンファーム接続になるものの、基幹系統以下の送配電線に熱容量を超える部分があり、増強工事が必要になる。また、ESRは、自家消費しきれない余剰分を自社の他施設で活用する方向で検討しているが、そのスキームを検討している段階という。 ESRでは、物流施設への太陽光発電設備の設置を基本にしている。当初は、固定価格買取制度(FIT)による全量売電モデルだったが、買取単価の下落と発電コスト低下を背景に自家消費型に切り替えている。ただ、物流施設は、太陽光パネルの設置容量に比して需要が少なく、多くの余剰電力が発生するため、ESRの事業のなかで相対的に多くの電力を消費するデータセンターでの活用を予定している。環境価値だけを移転させるバーチャルPPA(電力購入契約)モデルも含めて現在、複数のスキームを検討している。 また、ESRのスチュアート・ギブソン代表は、「横浜幸浦DC2」の竣工式で会見し、今後の太陽光発電事業の方向性として、余剰分のデータセンターでの利用のほか、近い将来、各物流施設に蓄電池や水素製造システムなどの大規模な蓄エネルギー設備を併設し、商用系統に依存しないオフグリッドでのマイクログリッド運用を基本にし、テナント企業に太陽光100%の電力を供給するようなシステムも検討しているという。...
続きを読む東急不動産など12社は2月10日、埼玉県東松山市にあるソーラーシェアリング(営農型太陽光発電)を中心とした農業と再生可能エネルギーを両立する実証施設「リエネソーラーファーム東松山」において、共同で実証実験を開始すると発表した。 リエネソーラーファーム東松山 2022年12月28日に稼働した「リエネソーラーファーム東松山太陽光発電所」を用いて、効率的な開発および運営手法の研究、最適な発電量を確保するための検証、作物の生育データの収集・分析を通じた収穫高や栽培品質に影響の少ない営農の実証など、さまざまな実証実験を行う。さまざまな関係者と協働することで未来の「技術発展」「事業拡大」「地域連携」を進める参加型の実証事業を目指す。 リエネソーラーファーム東松山 (出所:東急不動産) 主な実証内容は、「水田での杭架台の標準化」「最適な農作物、栽培方法の検証」「効率的なパネル配置検証」「ソーラーシェアリングを通じた地域共生」「農機と杭架台の最適設計架台活用による農業効率化」「蓄電池およびV2Xの自家消費・BCP・電力調整への活用」など。 リエネソーラーファーム東松山 イメージ(出所:東急不動産) 同発電所は、太陽光パネルの出力が378.78kW、連系出力が248kW。発電した電力は、固定価格買取制度(FIT)に依存しない非FIT電源として、小売電気事業者を通じて東急不動産の「渋谷ソラスタ」を含む東京都渋谷区の8物件に供給する。 TENOHA東松山 TENOHA東松山」 事業地は、市街化調整区域内の農用地区域(青地)で、埼玉県および東松山市農業委員会から農地転用許可を取得済み。営農者は個人農家で、コメ、ニンジン、ブルーベリー、エダマメなどを栽培する。6月から営農を開始した。 また、同実証の取り組みのひとつとして東急不動産は、同発電所の近隣にカフェやコワーキングスペース、イベントスペースとして多様な使い方ができる地域共生プロジェクト施設「TENOHA東松山」を2022年12月18日に開業した。既存建物のリノベーションを行い、同発電所と合わせた参加型実証施設となるよう全体計画を進めていく。 参加企業は、東急不動産、リエネ、エクシオグループ、オムロン ソーシアルソリューションズ、佐勇、ジンコソーラージャパン、ふみさん農園、丸紅メタル、ユー・シー・エル、リニューアブル・ジャパン、JDSC、Sungrow Japan。
続きを読む経済産業省は1月31日、調達価格等算定委員会を開催し、2024年度の再生可能エネルギー発電所に適用する固定価格買取制度(FIT)の調達価格、フィード・イン・プレミアム(FIP)の基準価格について委員長案を公表した。 事業用太陽光の2023年度以降の調達価格等 (出所:経産省) 来年度(2023年度)における太陽光の調達価格・基準価格については、すでに決まっており、一定規模以上は入札制、連系出力50kW以上入札対象未満は9.5円/kWh、低圧事業用(10kW以上50kW未満)で地域活用要件(自家消費か営農型)を備えた案件は10円/kWhとなっている。 2024年の太陽光については、10kW未満の住宅太陽光については、2024年度・16円/kWhとして2023年度と同価格とした。 10kW以上の事業用太陽光については、2024年度から新たに「屋根設置」区分を創設し、低圧事業用(10kW以上50kW未満)も含めて調達価格を12円/kWhとした。ただし、低圧事業用に関しては自家消費型の地域活用要件が適用される。また、屋根設置区分の12円/kWhは、2023年下半期にも適用し、認定申請の停滞を防ぐ。 事業用太陽光の地上設置については、低圧事業用(10kW以上50kW未満)は地域活用型(自家消費、営農型)が要件で10円/kWhとし、2023年度と同価格。50kW以上については9.2円/kWhとし、2023年度の9.5円/kWhから0.3円引き下げた。 地上設置案件は、地域共生型として周辺環境への影響が相対的に少ないことから、積極的に推進する方針で、すでに250kW以上であっても既設建物の場合、入札を免除するなど、優遇している。2024年度からは、地上設置とは別に新区分を創設して調達価格を引き上げることで、さらに導入を促進する。その際、不当に屋根設置区分の認定を取得しないように申請時に建物登記等の提出を求めるとともに、発電設備のすべてが建物に設置されていることを確認するとしている。 また、次世代型のペロブスカイト太陽電池の製品化が迫っていることから、今後、導入を推進するために、新区分を創設して調達価格などで優遇することも検討課題とした。 FIPのみ認められる範囲は、2023年度には500kW以上としているが、2024年度には250kW以上とし、さらに対象を拡大する。さらにFIPが選択できる範囲は、2022年度には50kW以上としているが、2023年度以降は10kW以上50kW未満の低圧事業用でも、一定の要件の下でFIPが選択できる。要件とは、(1)電気事業法上の発電事業者であること、(2)直接の契約関係に基づき、電気事業法上の小売電気事業者・登録特定送配電事業者・特定卸供給事業者に供給していることーーのいずれかを満たすこととした。 低圧事業用太陽光のFIP対象化の背景には、すでにコーポレートPAA(電力購入契約)モデルで複数の低圧サイトを開発する動きが活発化しており、こうした事業モデルにFIPを適用できるようにする狙いがある。...
続きを読む経済産業省は12月26日、調達価格等算定委員会を開催し、太陽光発電の2024年度に適用される調達価格・基準価格について討議した。 固定価格買取制度(FIT)の調達価格、フィード・イン・プレミアム(FIP)の基準価格は、これまで一貫して引き下げられてきたが、事業用太陽光については、新たに「屋根設置」区分を新設し、2023年度の9.5円/kWh(50kW以上の入札対象未満)よりも高い価格が適用されることになりそうだ。 屋根設置の太陽光は、地上設置に比べてパネルの調達費が高く資本費が上昇傾向になっている (出所:経産省) 来年度(2023年度)における事業用太陽光の調達価格・基準価格については、すでに決まっており、一定規模以上は入札制、50kW以上入札対象未満は9.5円/kWh、10kW以上50kW未満で地域活用要件(自家消費か営農型)を備えた案件は10円/kWhとなっている。 2024年度については、低圧と高圧を一律とした「10kW以上の屋根設置」区分を新設して入札対象外とし、「10kW以上50kW未満の地上設置」(地域活用要件の低圧事業用)、「50kW以上入札対象未満の地上設置」とは別の調達価格を設定する方向が示された。 26日の委員会では、2024年度における調達価格・基準価格を算定する際のコスト想定を公表した。それを見ると、「10kW以上の屋根設置」のシステム費用は15.0万円/kW、設備利用率14.5%と、「2023年度・50kW以上」(調達価格9.5円/kWh)区分のシステム費用11.7万円/kW、設備利用率17.7%に比べると投資効率が下がる方向になっていることから、調達価格は9.5円/kWhより高くなり、10円台に引き上げられることはほぼ間違いない。 一方、2024年度の「50kW以上の地上設置」のコスト想定は、システム費用は11.3万円/kW、設備利用率18.3%と、2023年度の50kW以上区分に比べると、投資効率が上がる方向性になることから、調達価格は9.5円/kWhよりにさらに引き下げとなりそうだ。 2024年度・10kW以上屋根設置の調達価格が、2023年度・50kW以上区分よりも高くなった場合、2023年度の認定取得が停滞する恐れがあることから、2023年度下半期の調達価格・基準価格には、2024年度の価格を適用するとの方針も示した。 また、26日の委員会では、低圧事業用太陽光のFIP対象化についても方向性が示された。現在、低圧事業用太陽光は地域活用要件を満たした場合、FITによる売電が認められているが、一定の要件を満たした場合、FIPの対象とする。要件とは、(1)電気事業法上の発電事業者であること、(2)直接の契約関係に基づき、電気事業法上の小売電気事業者・登録特定送配電事業者・特定卸供給事業者に供給していることーーのいずれかを満たすこととした。 低圧事業用太陽光のFIP対象化の背景には、すでにコーポレートPAA(電力購入契約)モデルで複数の低圧サイトを開発する動きが活発化しており、こうした事業モデルにFIPを適用できるようにする狙いがある。...
続きを読む豊田通商(愛知県名古屋市)、東急不動産(東京都渋谷区)、東北電力(宮城県仙台市)は12月8日、仙台国際空港(宮城県名取市)が管理・運営する仙台空港の駐車場に、「カーポート型太陽光発電所」(パネル容量約1.8MW)を建設すると発表した。2023年4月に稼働を開始する。 仙台空港の利用者向け駐車場の一部に設置する。設置面積は約8,763m2、駐車台数は576台を予定している。太陽光発電パネルの容量は1,771.2kW、パワーコンディショナー容量は1,595.5kW。 カーポート型太陽光発電所 上空イメージ(出所:豊田通商)
続きを読むリコーは11月25日、ユーザーの近くに設置する「エッジデータセンター」向けに、電動車両の使用済みバッテリーをリユース(再使用)した中古蓄電池による実証設備を構築し、既設の太陽光発電設備と接続して運転を開始したと発表した。 デジタル技術の進展で利用者の近くで情報処理を実行する分散型エッジデータセンター(エッジDC)が注目され、将来的にエッジDCでの電力消費量の増大する可能性がある。今回、再生可能エネルギーのさらなる活用に向けて、再エネの出力変動を吸収して安定的に電力供給することを目的に、エッジDC用向けの蓄電システムを構築した。 車種ごとに異なる仕様や特性のリユース蓄電池を混在して使えるシステムを開発した。今回構築した実証システムでは、電気自動車(EV)とハイブリッド車(HEV)の2種類のリチウムイオン蓄電池を使用した。また、HEV電池の高出力特性と、EV電池の大容量特性を生かし、システムを直流に統一することで変換効率を向上させた。 既設の太陽光発電設備による電力で充電する。太陽光パネルの出力は約19kW、蓄電池はリユース品を用いていることから正確な容量を公表していない。実証実験では、エッジDCの電力消費を模擬した装置(電子負荷装置)へ発電した電力を供給する。 環境省の2021年度「地域共創・セクター横断型カーボンニュートラル技術開発・実証事業(CO2排出削減対策強化誘導型技術開発・実証事業)」に採択され、実証評価を進めてきた。今回、蓄電システムの実証実験を開始し、事業化に向けた課題や顧客ニーズなどを洗い出すことで、新たなビジネスモデル構築を目指す。
続きを読む日清食品ホールディングス(東京都新宿区)は11月10日、自然や生物多様性の減少を回復させる「ネイチャーポジティブ」の活動を推進するとともに、2050年までにCO2排出量を実質ゼロにする「カーボンニュートラル」の達成を目指すと発表した。 具体的な取り組みとして、製品に使用する植物に由来する「植物性食品」の割合を拡大するなど、原材料に関する環境負荷の低減を進める。植物性食品は穀類、芋、豆、野菜、キノコ、果実、海藻類やこれらを加工した食品のことで、動物に由来する食品に比べ生産過程での環境負荷が少ないといわれている。さらに、生産工程で廃棄される食材のアップサイクルによる資源の有効活用、即席麺の製造に使用するパーム油の生産地における森林再生活動などを推進する。 生物多様性が重視されるなか、「ネイチャーポジティブ」は「カーボンニュートラル」に続く国際的なテーマとして、次の世界目標に位置付けられようとしている。 日清食品グループは、2020年4月に策定した環境戦略「EARTH FOOD CHALLENGE 2030」においてCO2排出量の削減目標を定め、再生可能エネルギーの使用をはじめとした取り組みを進めている。気候変動対策に加え、生物多様性の保全と回復を重要な経営課題に位置付け、これからも持続可能な社会の実現に努めていくとしている。
続きを読む中部電力ミライズは、カワボウ(岐阜市)が運営する岐阜市のショッピングセンター「マーサ21」に、オンサイト型PPA(電力購入契約)モデルによるソーラーカーポート(駐車場型太陽光発電設備)を導入した。10月27日に稼働した。 マーサ21に設置したソーラーカーポート (出所:中部電力ミライズ) マーサ21に設置したソーラーカーポート (出所:中部電力ミライズ) マーサ21の西平面駐車場に、太陽光パネルの出力約310kW、駐車台数110台のソーラーカーポートを設置した。年間発電量は約37万kWhを見込み、マーサ21北館の電飾使用量の約5%に相当する。年間CO2排出削減効果は約140t。 中部電力ミライズが提供する「カーポート一体型の太陽光発電自家消費サービス」の第1号案件になる。ソーラーカーポートは、乗降時に雨で濡れることを防ぎ、夏場には車内温度の上昇を抑制するため、利用者の利便性向上にも寄与するとしている。 ソーラーカーポートの保有・運営は、中電Looop Solar(名古屋市)が担当する。中電Looop Solarは、中部電力ミライズとLooopが共同出資して2020年10月に設立したPPA事業会社で、設立から5年間で100MWのPPA案件獲得を目指している。
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