中国北部の天津市(Tianjin)に位置し、単体の広さでは世界最大とされる「塩光相互補完プロジェクト」である華電天津海晶100万キロワット塩田太陽光発電所が8日に送電を始めました。太陽光発電、水面蒸発によるにがり作り、そして水中での養殖業という複合型産業モデルが確立されています。 太陽光パネルによる水面の遮蔽(しゃへい)と製塩業への影響を最小限に抑えるよう、同プロジェクトのパネルのアレイ間隔は14メートルにも達し、他の太陽光発電所のほぼ2倍以上となっています。 また、大部分の太陽光発電所では、パネルの傾斜角度が30~40度に設計されているのに対し、同プロジェクトでは傾斜角度を17度にしています。これも太陽の年間の軌跡を分析し、水面の遮蔽を一番小さく抑える角度が17度だと分かったためです。 また、パネルは両面で発電が可能で、表面で直接太陽光を吸収して電気エネルギーに変換するほか、裏面も水面から反射された太陽光を吸収することができるため、これだけでも発電効率の5~7%アップが期待できるとされています。 なお、華電海晶塩光相互補完プロジェクト責任者の楊帆氏によりますと、塩田の面積は1333ヘクタールあり、年間15億キロワット時のグリーン電力がここで作られるということです。
続きを読む鈴与商事(静岡市)とレノバは7月3日、オフサイト型PPA(電力購入契約)を締結したと発表した。レノバが中部電力パワーグリッド管内に固定価格買取制度(FIT)に依存しない複数の低圧事業用太陽光発電所を新規に開発し、鈴与商事が電力と環境価値を購入する。 (レノバが開発した非FITの低圧事業用太陽光) 合計の取引規模は、太陽光パネルの出力が最大2MW、連系出力が最大1MW。2023年度中から電力供給を順次開始し、2024年度中に開発を完了する予定。事業主体はレノバが100%出資する第一太陽光発電合同会社(東京都中央区)。 発電した電力と環境価値(非FIT非化石証書)を合わせて供給するフィジカルPPAになる。鈴与商事が需給管理を行い、インバランス料金も負担する。電力購入期間は20年間。今後、取引規模を順次拡大していく予定。 レノバは、2022年4月にグリーン・トランスフォーメーション(GX)本部を設置し、法人向け非FIT再エネ発電事業に取り組んでいる。同年8月に東京ガス、2023年1月にエバーグリーン・マーケティングとオフサイト型のフィジカルPPAを締結、同年5月に村田製作所とバーチャルPPAを締結した。
続きを読むヤマガタデザイン(山形県鶴岡市)は、岩手農協チキンフーズ八幡平工場(岩手県八幡平市)の屋根に、PPA(電力販売契約)モデルで太陽光発電設備を導入し、6月9日から発電を開始したと発表した。設備容量は1.3MWで、年間の発電消費量は105万kWhを見込む。再エネ率は年間でおよそ12.4%となる。 2023年6月9日 八幡平工場でオンサイトPPAによる太陽光発電が開始されました。 岩手農協チキンフーズは、今回のPPA導入により、年間約1058万円、20年間で約2億円のコスト削減につながると試算する。 電気代の一部は教育に還元 寄付額は20年間で約274万円 PPAは、PPA事業者が企業が所有する施設の屋根等のスペースを借りて太陽光発電設備を無償で設置し、そこで作られた電気を企業に供給するモデル。ヤマガタデザインは再エネ事業「SORAIソーラー」において、企業の屋根に太陽光発電設備を無償で設置し、20年間一定の単価で再エネを供給するPPAモデルを提供している。SORAIソーラーにおいて1MWを超えるPPAは、今回が初めて。 SORAIソーラーは教育を応援するための再エネ事業であり、電気代の一部が子どもたちの教育に還元される。今回は岩手農協チキンフーズの希望で、岩手県教育委員会に寄付された後、大学等への進学支援や、部活動用品の購入など、教育環境の充実に活用される予定だ。寄付額は、20年間で274万円程度を見込む。 岩手農協チキンフーズの代表取締役・十文字保雄氏は、「鶏肉生産のために工場内で使用している冷凍機や空調などにも使用している電力の一部を再生可能エネルギーで賄えることになる。今後もCO2排出量の削減に寄与する取り組みと同時に、地域の子供たちへの教育を支援する取り組みを継続していく」とコメント。 ヤマガタデザインの代表取締役 ・山中大介氏は、「岩手県でも、企業が再エネを導入しながら、地域の教育を同時に応援できる取り組みをスタートできたことを大変嬉しく思う。この取り組みを継続し、増やしていくことで、岩手県の教育にも貢献していきたい」としている。
続きを読む自然電力と農業ベンチャー企業のマイファーム(京都市)は5月30日、資本業務提携契約を締結したと発表した。ソーラーシェアリング(営農型太陽光発電)事業で連携するとともに、自然電力がマイファームにマイナー出資する(出資額は非公表)。 新潟市の「新潟鈴木ファーム太陽光発電所」 (出所:日経BP) マイファームは、「自産自消ができる社会」を理念に農業教育、農業技術開発および研究・開発(R&D)、地域活性化に関する事業を手掛け、これらの知見と農業人材ネットワークを持つ。農業学校「アグリイノベーション大学」を運営し、累計2000人以上の卒業者がいる。 自然電力は、再生可能エネルギー事業に加え、地域活性化を推進する事業やソーラーシェアリング事業に取り組んでいる。ソーラーシェアリングは、2017年5月から新潟市に出力1.36MWの「新潟鈴木ファーム太陽光発電所」を、2021年4月から鹿児島県志布志市に出力2.19MWの「志布志松山第一・第二・第三太陽光発電所」を運営している(関連記事:進化する営農型太陽光、ドローンでO&M効率化)。 それぞれの知見を生かし連携することで相乗効果が得られるとする。具体的には、アグリイノベーション大学が生み出す農業人材を、自然電力が運営するソーラーシェアリング事業の農業従事者として斡旋・紹介する。また、マイファームから自然電力へソーラーシェアリング事業に使用する用地を斡旋・紹介する。 協業により垂直型ソーラーシェアリング施設を活用した新しい営農モデルでの生育試験をプロジェクトとして準備している。すでに東北地方で数百ヘクタールの候補地をリストアップ済み。一方、国内市場でほとんど実績のない垂直型は、県や市町村の農業委員会の理解と支援を取り付けることが最重要課題という。 当面は宮城県などに設置した実験設備において、栽培データを蓄積していく。本格的な事業展開は、実験設備での収穫・データ取りが完了する秋以降になる見込み。
続きを読む新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)は4月28日、「特殊な設置形態の太陽光発電システムの設計・施工ガイドライン2023年版」を策定し公開した。傾斜地設置型、営農型、水上設置型という3種類の特殊な設置形態に対応した。2021年版に実証実験結果などを反映し、さまざまな設置形態への適用性をより向上させた。 今回公表されたガイドラインの位置づけ (出所:NEDO) 近年、太陽光発電の建設に適した場所の減少に伴い、傾斜地や農地、水上へと太陽光発電の設置環境が拡大している。こうした特殊な設置環境での太陽光発電は、一般的な地上設置型より設計や施工上の難易度が高いため、電気事業法や地方自治体の条例などにおいても設置に対する安全対策が求められている。 こうした背景からNEDOは「地上設置型太陽光発電システムの設計ガイドライン2019年版」に、特殊な設置環境の構造設計、電気設計・施工の項目を加えた「特殊な設置形態の太陽光発電システムの設計・施工ガイドライン2021年版」を2021年11月に公開した。 今回、産業技術総合研究所(産総研)、構造耐力評価機構、太陽光発電協会(JPEA)、八千代エンジニヤリング、デロイト トーマツ コンサルティング合同会社、キョーラク、北見工業大学、再委託先の防災科学研究所、大阪公立大学、北海道科学大学による調査、実証実験の結果を踏まえ、ガイドラインを改訂した。 傾斜地設置型の2023年版では、傾斜地における風速増加による風荷重や積雪荷重が、太陽光パネルや架台・基礎に与える影響について、実験やコンピューターシミュレーションの解析結果をもとに、設計方法を反映した。また、寒冷地における凍上現象の影響を実証実験で確認し、対策方法を反映した。 営農型の2023年版では、営農型太陽光発電設備の傾斜角や遮光率、設置形態の違いによる風荷重が架台や基礎に与える影響などについて、風洞実験などをもとに設計方法を反映した。 水上設置型の2023年版では、波や風による荷重が架台フロートや固定・連結器具に与える影響について、実システムや屋内水槽実験などをもとに設計方法を反映した。また、コネクター水没時の絶縁性能の変化などの測定結果をもとに、配線方法などを反映した。 このほか、参考となる技術情報や、実証実験の結果を同ガイドラインの技術資料として整備した。NEDOは、今後も傾斜地設置型・営農型・水上設置型などの実証実験を行い、太陽光発電設備の安全確保のための技術資料などの策定を進めていく。...
続きを読むエア・ウォーターは4月13日、両面受光型太陽光パネルメーカーである独Luxor Solarの日本法人ルクサーソーラー(東京都中央区)と共同で、太陽光パネルを地面と垂直に設置する垂直型太陽光発電システム「VERPA(ヴァルパ)」を開発したと発表した。 札幌市の自社用地に設置したVERPA実証機 (出所:エア・ウォーター) 従来の平置き型・傾斜型では難しかった土地の併用が可能で、既存の駐車場に収容台数を減らせず設置できるという。地表面からパネル最下部までの高さを2m以上確保することでドライバーの視線を遮らず、駐車場利用者の安全に配慮した。建築物ではなく工作物となるため、市街化調整区域の駐車場にも設置可能。 札幌市の自社用地に設置したVERPA実証機 (出所:エア・ウォーター) 垂直型のため雪が積もらず、雹(ひょう)・黄砂・落葉・落石などにも相対的に強い。台風や暴風雪などにも耐えるよう、エア・ウォーターのグループ企業で防風柵・防雪柵メーカーのホクエイが強度設計に参加し、適切な耐力計算を行う。日本の国土の51%を占める豪雪地帯は太陽光発電の不適地とされてきたが、VERPAは問題の解決策になるとしている。 ルクサーソーラー製の両面発電パネルを採用。東西方向に受光面を向けた垂直型の設置では、朝夕2回の出力ピークが現れるため、平置き型・傾斜型と比較しても年間発電量にほとんど差がなく、地面からの反射光によっては垂直型の方が優れる場合もあるという。また、カーポート型と比べて設置費や維持費が安価で、受光面を目視できるので清掃作業やメンテナンスが容易という。 1ユニットのサイズは横幅2280×高さ4633mmで、出力は460W×2段の計920W。10台×4列の駐車場(横幅30×長さ39m程度)で試算した場合、39ユニット(13ユニット×3列)設置でき、合計出力は約36kWになる。参考価格は、本体含む総工事費が30~70万円/kWhを想定する(補助金助成を含まず)。 初期の導入場所としては、ショッピングセンターや大型公園の駐車場、サービスエリア・パーキングエリア、道の駅をはじめとして、牧草地や農道、歩道などを想定する。酪農家や農家の収益向上にも寄与する。 エア・ウォーターは、VERPA事業について、バイオガスの高度利用技術、木質バイオマス資源の総合的なエネルギー利用技術、各種排ガスのCO2回収技術に続く地球環境ビジネスの第4の注力分野として、2030年度に年間1000億円規模の売上を目指す。
続きを読む市民エネルギーちば(千葉県匝瑳市)などが出資する特別目的会社(SPC)の匝瑳おひさま発電所(千葉県匝瑳市)は、国内最大規模のソーラーシェアリング(営農型太陽光発電所)「匝瑳おひさま発電所」を開発し、4月1日から売電を開始した。 匝瑳おひさま発電所 (出所:市民エネルギーちば) 匝瑳市の耕作放棄地などの敷地面積6万4500m2に、太陽光パネルの出力2.702MW、連系出力1.92MWの太陽光発電設備を設置した。年間発電量は337万8500kWhの見込み。発電した電力は、固定価格買取制度(FIT)に基づき東京電力パワーグリッドに売電する。買取価格は18円/kWh。 太陽光パネルはエネルギーギャップ(東京都中央区)製、パワーコンディショナー(PCS)は中国サングロウ製。両面受光型太陽光パネルを採用し、遮光率は35%未満。太陽光パネル下では、大豆と大麦を栽培する。太陽光発電のCO2排出削減に加えて、有機農業による環境改善効果(CO2吸収効果)が見込まれるという。 SPCへの出資企業は、市民エネルギーちば、農地所有者で認定農業者の匝瑳おひさま畑(千葉県匝瑳市)、ENEOSイノベーションパートナーズ合同会社(東京都千代田区)、SBIエナジー(東京都港区)、アグリツリー(福岡県那珂川市)の5社。 また、千葉銀行から「ちばぎんSDGsリーダーズローン(グリーンローン型)」による融資を受けた。融資金額は2億円。調達した資金は同発電所の開発資金に全額充当されている。 なお、同発電所の完成に伴い、4月22日に記念イベント「ソーラーシェアリングの郷“匝瑳”アースデイパーティー」を開催する。ゲストスピーカーによるトークセッション、植樹、地元住民を交えた交流会などを実施し、地元野菜を使用したフードケータリングなども提供する。
続きを読む東京都環境局は2023年度から、使用済みの住宅用太陽光パネルのリサイクルルート確立に向けて、都内の住宅から排出される太陽光パネルのリサイクル費用の一部を補助する事業を開始する。都指定のリサイクル施設に、使用済住宅用太陽光パネルの処理の委託を行う排出事業者に対し、発電出力(kW)に25,000円を乗じた額を補助する。 期間は2027年度まで。予算額は1億円。都は4月10日まで、リサイクル施設を指定するため、産業廃棄物中間処理業者の公募を行う。指定後の6月から、補助申請受付を開始する予定。 4月10日まで、太陽光パネルをリサイクルする処理業者を募集 都は4月1日から同月10日まで、産業廃棄物中間処理業者の募集を行う。 · 首都圏に所在する施設で以下に記載する方法・条件で、シリコン系の使用済住宅用太陽光パネルのリサイクルを行うことができる事業者。 ◆ アルミおよびガラス:アルミおよびガラスを分離し、それぞれ再生利用を行う。 ◆ セル、封止材、バックシート:アルミおよびガラスを分離した後のセル、封止材及びバックシートについて、以下のいずれかの方法により処理すること。 · 有用金属の再生利用(非鉄金属精錬業者への引き渡し) · 溶融処理によるスラグの再生利用 · 熱回収施設における熱回収 ◆ 再利用率:再生利用と熱回収の合計の重量が、使用済住宅用太陽光パネルの総重量の80%以上となるように処理を行うこと。ただし、熱回収に算入できる重量は、使用済住宅用太陽光パネルの総重量の20%までとする。 · 上記の方法・条件で2020年4月1日から2023年3月31日までの期間で、首都圏で使用済太陽光パネルの中間処理を1年以上行った実績がある者 都が委託する調査機関が、申請書類を基に現地調査を行い、調査結果報告書に基づいて、都が指定を行う。
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