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  • 住宅太陽光、「設置義務化」も視野、「2030年・新築の6割」明記

    住宅太陽光、「設置義務化」も視野、「2030年・新築の6割」明記

    Aug 17, 2021

    住宅の屋根上太陽光を本格的に推進する方向が明確になってきた。2030年に新築住宅の6割に太陽光を設置する目標を省庁連携で設定したほか、将来的に住宅太陽光の「設置義務化」も選択肢の1つとした。 住宅太陽光の「設置義務化」も選択肢に (出所:三洋電機、写真はイメージ) 国土交通省と経済産業省、環境省は8月10日、第6回「脱炭素社会に向けた住宅・建築物の省エネ対策等のあり方検討会」を開催した。これまでの議論を踏まえた「脱炭素社会に向けた住宅・建築物における省エネ対策等のあり方・進め方(案)」の修正案を示し、これについて議論した。  同案では、2050年のカーボンニュートラル実現に向けて、2050年の住宅・建築物の姿として、ストック平均でZEH(ネットゼロ・エネルギー住宅)・ZEB(ネットゼロ・エネルギービル)基準の水準の省エネ性能が確保されていること、その導入が合理的な住宅・建築物における太陽光発電などの再生可能エネルギーの導入が一般的となることを目指すとしている。  これを踏まえて、2030年の住宅・建築物の姿としては、2030年度の温室効果ガス排出量46%削減目標の実現に向けて技術的かつ経済的に利用可能な技術を最大限活用し、新築住宅・建築物にZEH・ZEB基準の水準の省エネ性能が確保されるとともに、「新築戸建住宅の6割に太陽光発電設備が導入されていることを目指す」とした。  太陽光発電設備については、「将来的な設置義務化も選択肢のひとつ」とし、あらゆる手段を検討し、設置促進に取り組む。公共機関が建築主となる住宅・建築物は、新築における太陽光発電設置を標準化するとともに、既存ストックや公有地などで可能な限りの太陽光発電設備の設置を推進するなど率先して取り組むことを掲げた。  民間の住宅・建築物については、「個人負担軽減の観点から補助制度に加えて融資や税制でも支援措置を講じること」「低炭素建築物の認定基準で太陽光発電などの再エネ導入設備を設置したZEH・ZEBを要件化すること」「消費者や事業主が安心できるPPA(電力購入契約)モデルの定着に向けた事例の創出や横展開など分かりやすい情報提供に取り組むこと」「太陽光発電の後載せやメンテナンス・交換に対する備えのあり方を検討・周知普及すること」などを挙げた。  参加委員からは、新築住宅の6割設置目標や将来的な設置義務化検討などについて、京都大学の諸富徹教授や慶應義塾大学の伊香賀俊治教授などから具体的な数値まで踏み込んだことを評価する声が上がった。一方で、諸富教授からは、「なぜ6割なのか、国全体の再エネ計画との整合性の観点から6割という数値がどのような意味を持つのかを追加付記してほしい」などの注文があった(関連記事:「2030年に新築住宅の6割に太陽光」経産省が目標値)。  このほかにも、東京大学の清家剛教授は、新築の6割目標については評価する一方、義務化については、既存住宅の後付けに関する技術面の課題など、慎重に議論を進めてほしいと要望した。また、東北芸術工科外大学の竹内昌義教授は、現在考えうる最大源の目標が設定されていると評価しつつも、その前提となるデータの根拠や見通しが楽観的と指摘。2030年以降は太陽光発電の設置を100%とするなど、早急な前倒しが必要と訴えた。...

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  • 気温1.5度上昇、リスク切迫 IPCC「50年排出ゼロ必須」

    気温1.5度上昇、リスク切迫 IPCC「50年排出ゼロ必須」

    Aug 10, 2021

    国連の気候変動に関する政府間パネル(IPCC)が9日公表した報告書は、切迫する温暖化のリスクを世界につきつけた。気温上昇の加速で熱波や干ばつ、豪雨が頻発するようになる。温暖化ガス削減などの対応が遅れるほど影響は増大しかねない。一定の気温上昇を前提にした環境への適応策も重要になる。 21世紀に入り、新興国や途上国の経済成長と合わせ温暖化ガスの排出は急増している。気温はこれまで約1度上昇した。 既に影響は出ている。顕著なのは山火事だ。20年に大きな被害が出た米カリフォルニア州のほかロシアやカナダ、トルコ南西部などでも相次ぐ。 永久凍土が溶けて地中のガスや細菌が放出されるリスクもある。IPCCによると、北極圏は他の地域の2倍超のペースで温暖化が進む。シベリアの20年1~6月の平均気温は、1981~2010年の同期間の平均より5度以上高かった。 熱波による死者も増えている。医学誌ランセットによれば、00年から18年にかけて65歳以上の人が暑さの影響で死亡する確率は55%増加した。国際労働機関(ILO)もフルタイムで働く8000万人分の労働力を「熱ストレス」で30年までに失うと分析する。経済損失は2兆4千億ドル(約250兆円)に及ぶ。 農業や建設業は屋外で働けなくなったり、作業のスピードが著しく鈍ったりする。空調が不十分な工場でも仕事がはかどらなくなる。8日に閉会した東京五輪でも高温を理由に競技時間がたびたび変更された。 水害も拡大する。IPCCは気温が1.5度上がった場合、海面上昇や台風で世界の1億4千万人が浸水などの被害を受けると予想する。防波堤の強化や沿岸部からの移住が必要になる。 IPCCは、化石燃料の削減など抜本的な対策をとらない場合、気温は21世紀末に最大5.7度も上昇すると試算した。影響はさらに深刻になりかねない。 報告書は「2050年ごろに二酸化炭素(CO2)と他の温暖化ガス排出量を大幅に削減してネットゼロにしない限り、21世紀中に1.5度と2度の両方を超える」と明記した。実質排出ゼロにできれば、1.5度以内に抑える目標は達成できるとみる。大気中に放出済みの温暖化ガスを考慮すると、前段階として30年時点で10年比45%の削減も必要と指摘した。 世界の足並みはそろっていない。50年排出ゼロの目標で一致しているのは日米欧などの先進国が中心。その狙い通り削減が進むかも見通せない。日本は30年度に13年度比で46%減と掲げた。実際は具体策に乏しく、数字合わせの面がある。 報告書は「人間の影響が大気、海洋および陸域を温暖化させてきたことには疑う余地がない」と強調した。国や企業にとって気候変動対策はますます重い責務になる。...

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  • ハウスの上に太陽光パネル。「自家消費農場」はつくった電気をフル活用

    ハウスの上に太陽光パネル。「自家消費農場」はつくった電気をフル活用

    Aug 05, 2021

    ハウスの屋根上に太陽光パネルを設置する、自家消費農場「スマートブルー茅ヶ崎農場」。FITに頼らないから、できることがある。蓄電池も導入し、安定的な営農を実現した。 太陽光で運営する先進農場 農地に直接、支柱を立てて太陽光発電設備を設置するだけがソーラーシェアリングではない。ハウスの屋根上に太陽光パネルを設置するケースもある。しかも、ここに紹介する農場では、発電した電気を農場内の動力として活かしている。ソーラーシェアリングではまだ珍しい、非FITの完全自家消費モデルだ。 今年9月、神奈川県茅ケ崎市に、これまでにないエネルギーシステムをもつ農場が誕生した。“地域密着型ICT農場”を謳う、スマートブルー茅ヶ崎農場だ。同農場を運営するスマートブルーでは、「生み出したエネルギー、生産した新鮮な野菜、そして労働力を地域内に循環させることで、持続可能な地域社会づくりに貢献していきたい」と話している。 非FITだからできること 注目したいのは、エネルギーシステムの中核を担う、独自のソーラーシェアリング。ハウス上空に設置された太陽光パネルで発電し、つくった電気は、農場内の水耕栽培設備や井戸用ポンプ、ビニール開閉システム等の電源として活用している。 FIT制度を使った売電は行わず、農場ならではの自家消費に徹しているところが最大の特徴だ。農林水産省が後押しする方向(「営農型太陽光発電システムフル活用事業」)とも合致し、大きな伸びしろのある領域となっている。 地域の防災拠点にも 同農場では蓄電池も導入し、天候に左右されることなく、再エネを利用して安定的に営農できるシステムを構築している。 また、太陽光でつくった電気を蓄電池に貯めて運用することで、大規模災害などの停電時にも、井戸用ポンプ、照明、コンセント等を昼夜を問わず使うことができるようになった。これが機能すれば、農場に“地域の防災拠点”としての役割を担わせることも不可能ではない。スマートブルーでは、非常時には、これらの設備を無償で地域住民に開放する方針だ。 農業ICT(養液管理システム、各種環境センサ、被覆自動開閉システム、モニタリングカメラ)により省力化された同農場では、養液水耕栽培により葉物野菜(レタス、ケール、ミズナ、からし菜など)を周年栽培し、地域の直売所やスーパーに出荷する計画を立てている。効率化・省力化された環境のなかで、障害を持つ人であっても、働きがい・生きがいづくりができる“農福連携モデル”としても発展させていく考えだ。 拡がり続ける、ソーラーシェアリングの可能性に期待したい。 SOLAR JOURNAL vol.35(2020年秋号)より転載...

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  • 東京五輪 環境配慮が未来への遺産に 水素やリサイクル技術 排出量実質ゼロ達成

    東京五輪 環境配慮が未来への遺産に 水素やリサイクル技術 排出量実質ゼロ達成

    Jul 28, 2021

    日本のメダルラッシュに沸く東京五輪は環境への配慮が未来へのレガシー(遺産)として残される大会だ。日本の得意分野ともいえる水素関連やリサイクル関連で、大会スポンサーのトヨタ自動車やアシックスなどが最新の技術を提供。東京大会に伴う二酸化炭素(CO2)排出量は実質ゼロとなる。世界中で脱炭素化への関心が高まる中、東京大会は環境問題への対応を重視した大規模イベント開催の新しい姿を描く。 東京五輪の環境分野における理念の象徴のひとつが、23日の開会式の最後に五輪史上初めて水素によってともされた聖火だ。 燃焼時にCO2を排出しない水素は酸素と反応させて発電する燃料電池にも利用できる。太陽光発電の電力を使って福島県浪江町で製造された水素などをENEOSが東京大会向けに供給し、東日本大震災からの復興と脱炭素社会の実現をアピールする。 今回の五輪ではエコカーも積極的に活用される。トヨタは公式車両3340台を提供。このうち9割は燃料電池車(FCV)や電気自動車(EV)などの電動車が占める。選手村では自動運転もできるEV「e―Palette(イーパレット)」17台を使った24時間の移動サービスも提供している。 循環型社会の到来を見据えたリサイクルの取り組みも活発だ。日本選手団の公式ウエアを担当したアシックスは着古したスポーツウエアから生み出した繊維を活用し、「リサイクル繊維の比率はジャケットで約50%、シューズの上部や中敷きの表部分では100%を占める」という。 ほかにもプロクター・アンド・ギャンブル・ジャパン(P&Gジャパン)などは、約100台の表彰台を廃プラスチックで製作。選手に贈られるメダルの材料は、小型家電などの「都市鉱山」から集められた。 五輪と環境問題をめぐっては、スイスなどの国際研究チームが4月、1992年以降の夏季・冬季五輪16大会の持続可能性に関する評価を発表。近年の五輪ほど評価が低くなる傾向があると指摘した。しかし東京五輪への評価は2016年のリオデジャネイロ五輪より高く、12年のロンドン五輪と同水準で、会場の新規建設などが比較的少ないことなどが評価されている。 東京五輪・パラリンピック組織委員会は6月、東京大会開催に伴い発生する273万トンのCO2は東京都と埼玉県から無償提供される438万トンの排出枠で相殺されると発表。目標としてきたCO2排出実質ゼロが達成できる見込みだ。 トヨタの伊藤正章オリンピック・パラリンピック部長は「(自社などの取り組みが)環境負荷軽減に貢献し、CO2排出量もこれまでで最も低い数値になるだろう」と大会成功に自信を示す。(井田通人、宇野貴文)...

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  • エフピコ、2工場で「オンサイトPPA」、合計2.9MW

    エフピコ、2工場で「オンサイトPPA」、合計2.9MW

    Jul 21, 2021

    三井物産プラントシステム(東京都港区)は7月19日、食品トレー容器製造を手掛けるエフピコとオンサイト型PPA(電力購入契約)を締結したと発表した。茨城県八千代町にある関東八千代工場と関東エコペット工場の屋根上に太陽光発電設備を設置する。  関東エコペット工場に設置する太陽光パネルの出力は約1.4MW、年間発電量は149万kWhを見込む。CO2削減効果は年間で約660tの見込み。関東八千代工場に設置する太陽光パネルの出力は約1.5MW、年間発電量は164万kWh飲み込み。CO2削減効果は年間730tの見込み。 エフピコの関東エコペット工場、関東八千代工場、関東リサイクル工場 (出所:エフピコ)  三井物産プラントシステムは、発電した電力はエフピコに全量売電する。エフピコは、同敷地内にある関東リサイクル工場で使用する電力の全量相当の再生可能エネルギーを調達可能になる。2022年3月期に稼働する予定。  両社は今後、エフピコの他拠点(中部エリア・関西エリア)の太陽光発電についても、2023年3月期の導入を検討する。三井物産プラントシステムは、これまでに累計約307MWの太陽光発電所を全国で開発・運営管理しており、この実績を活用してオンサイト型PPAやオフサイト型PPAの開発を進めている。

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  • マツダ、広島本社工場へ1.1MWの太陽光発電導入 EVバッテリー充電等に

    マツダ、広島本社工場へ1.1MWの太陽光発電導入 EVバッテリー充電等に

    Jul 14, 2021

    太陽光発電設備(出所:マツダ) マツダ(広島県府中町)は7月13日、製造領域での工場やオフィスのグリーン化推進の一環として、広島本社工場で、同社初となる太陽光発電設備の稼働を開始した。発電能力は1.1MW。同工場で生産するすべての「MX-30 EV モデル」のバッテリー充電をまかなうと共に、工場全体で使用する電力としても供給される。 同社は「今後もグリーン電力の積極的な導入と利用促進を行い、2050年のカーボンニュートラル化に向け着実に挑戦を進め、豊かで美しい地球と永続的に共存できる未来を目指していく」とコメントした。 「MX-30 EV モデル」は同社初の量産電気自動車。バッテリーは、LCA評価によるCO2排出量を抑えることと、買い物や通勤など日常生活でのユーザーの実用的な使用環境に見合った走行距離を考慮し、総電力量35.5kWhとした。 また、同社が6月に発表した新たな技術・商品の開発方針では、2030年時点での生産における電動化比率は100%、EV比率は25%を想定していることを明らかにした。

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  • 太陽光は2035年度・累計141GW、風力は27GW、富士経済が予測

    太陽光は2035年度・累計141GW、風力は27GW、富士経済が予測

    Jun 29, 2021

    富士経済(東京都中央区)は6月24日、2035年度の再生可能エネルギー発電システム市場は1兆7651億円になるとの予測を発表した。2020年度見込みの1兆7986億円から微減となり、太陽光発電が2020年度比6割弱まで市場規模が縮小する一方、風力発電が洋上風力の導入本格化により同4倍以上に拡大するという。 再生可能エネルギー発電システム市場 (出所:富士経済)  太陽光発電は、2014年度に導入ピークを迎え、以降は縮小が続いている。2020年度は、新型コロナウイルスの影響を受け、前年度比11.8%減の1兆7651億円の見込みで、再エネ全体の約75%を占める。2025年度までに固定価格買取制度(FIT)事業認定案件の導入がほぼなくなり年間導入量が減少するが、以降は非FITやフィード・イン・プレミアム(FIP)による導入が進み、市場の縮小は底を打つと見ている。 再生可能エネルギー発電システムの発電量 (出所:富士経済)  風力発電は、設備認定を受けた案件の稼働が本格化し、2020年度は前年度比1.2%増の1781億円の見込み。大型陸上風力は、環境アセスメント手続きが終了した案件は2022年度までの竣工が確実となり、事業認定取得済み案件が2025年度まで市場を牽引する。洋上風力は、着工が2022年度から2023年度にかけて本格的に立ち上がり、2025年度以降は洋上風力が市場を牽引していくと見られる。 太陽光・風力の累積導入量 (出所:富士経済)  再エネ発電の累計導入容量は、2020年度が8571万kW(85.71GW)の見込み。2035年度は、2020年度見込み比2.2倍の1億9199万kW(191.99GW)と予測する。太陽光は、リードタイムが短く費用対効果が高いことから導入量が急増し、2020年度が6570万kW(65.70GW)の見込み。2035年度は同2.1倍の1億4100万kW(141.00GW)と予測し、構成比は70%を超えると見られる。風力は、2020年度が469万kW(4.69GW)の見込み。開発に時間がかかるが大型風力や洋上風力の導入が本格化することで、2035年度は同5.8倍の2741万kW(27.41GW)と予測する。  再エネ発電量は、2020年度が1728億kWhの見込み。2030年度は3019億kWh、2035年度には3795億kWhとなり、国内総発電量約1兆kWhの約40%を占める。太陽光は、2020年度の806億kWhから2035年度には1730億kWhまで増加し、再エネ発電量全体の45~55%の構成比を維持する見込み。風力は、2020年度の109億kWhから2035年度には445億kWhまで拡大し、再エネ発電量全体の2割近くを占めるという。

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  • 太陽光第8回入札、平均落札価格は10.82円、最低価格は10円に

    太陽光第8回入札、平均落札価格は10.82円、最低価格は10円に

    Jun 23, 2021

    一般社団法人・低炭素投資促進機構は6月18日、太陽光発電(250kW以上の高圧・特別高圧連系案件)を対象にした、固定価格買取制度(FIT)による第8回入札(令和3年度第1回)の結果を公表した。  札を入れた容量は募集容量を上回り、最高落札価格は上限価格を下回るなど、入札回数を増やして1回の募集容量を減らした効果が表れた。  今回の入札は事前に上限価格を公表し、前回の11.50円/kWhから0.50円下げ、11.00円/kWhと設定していた。また、募集容量(入札量)は208MWとしていた。  落札されたのは135件・約208MWで、最低落札価格は10.00円/kWh、最高落札価格は10.98円/kWh、加重平均落札価格は10.82円/kWhだった。最低価格は前回の10.48円/kWhから0.48円、加重平均落札価格は前回の11.20円/kWhから0.38円下がった。  今回の入札での募集容量は208MWで、札を入れたのは185件・合計出力約248.83MWで、募集容量を上回った。その結果、落札されたのは、より低い価格を入れた札から208MWに達した135件となり、最高落札価格は、上限価格を下回る10.98円となった。その意味では、前回と違い最高落札価格が上限価格に張り付くことなく、本来の競争入札の効果が出た。  2021年度の入札は、対象を2020年度と同様、250kW以上としたが、入札回数を2回から4回に増やすとともに入札上限価格を事前に公表した。2020年度入札の上限価格は事前非公表で、上期(第6回)12円/kWh、下期(第7回)11.5円/kWhだったが、2021年度の1回目(第8回)は11円/kWh、2回目(第9回)は10.75円/kWh、3回目(第10回)は10.50円/kWh、4回目(第11回)は10.25円/と公表した。  加えて、募集容量を減らすことで、入札効果を高めることを狙った。2020年度は上期・下期各750MWで合計1500MWだったが、2021年度は1回の募集量を208MW、4回合計で832MWに減らした。  今回の入札で、参加資格の審査に提出された案件は231件・329.53MWだったが、参加資格を得たのは218件・310.93MWに留まった。そのうち実際に入札に参加したのは185件・248.83MWとさらに減った。入札参加に意欲を持っていたものの、連系協議の進展遅れなど何らかの理由により、入札を見送った件数が相当数に上ることが伺える。  今年度は、フィード・イン・プレミアム(FIP)開始を来年度に控え、250kW以上の太陽光がFITによる売電事業で認定が取得できる最後の年度になる。そのため駆け込み認定が予想される。今回、入札参加資格の審査に300MW以上が応募したことを見ると、新規開発が活発化していることが伺える。  今回の落札結果を、規模別に見ると、2MW以上の特別高圧案件は3件(49.99MW・10.76円/kWh、26.75MW・10.90円/kWh、4.0MW・10.40円/kWh)、1MW以上2MW未満のメガソーラーが54件、250kW以上1MW未満のミドルソーラーが78件だった。前回入札では特高案件が1件もなかったことを考えると大規模案件の開発にも復調の兆しが見える。...

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